圧倒的支持を受ける伝奇活劇ビジュアルノベルの完成形【Fate/stay night [Realta Nua]】
GameSpot スコア
| 操作性 | 9 | |
| ビジュアル | 9 | |
| サウンド | 8 | |
| 満足度 | 9 | |
| 独自性 | 7 |
わかりやすさ: 1〜3時間
すべての願いを叶えるという「聖杯」を巡り、7人のマスターと7騎のサーヴァントが激しいバトルを繰り広げる伝奇活劇ヴィジュアルノベル「Fate/stay night[Realta Nua]」。すでに様々なメディアで展開してきた「Fate」関連作品の本命とも言える本作は、果たしてどのような作品なのか……? その詳細を余すところなくレビューしたい。
前代未聞のクオリティを誇る伝奇活劇ヴィジュアルノベル
手にした者にあらゆる願いを実現させるという伝説の聖杯を巡り、七人のマスターが戦いの火花を散らす――という基本ストーリーから分かるように、バトルが連発する少年漫画のような展開が「Fate/stay night」(以下「Fate」)の大きな特徴だ。しかも、マスターが呼び出す「サーヴァント」と呼ばれる使い魔たちは、どれも伝説級の英雄ばかり。彼らが繰り広げるド派手な戦いの連続は、まさに「現代に甦った神話」とも言える大迫力だ!
もちろん、戦いの場面ばかりが「Fate」の魅力ではない。清楚かつ気丈な性格が魅力のセイバーや、冷静かつ小悪魔的な性格で主人公を振り回す遠坂凛など、魅力的なキャラクターには事欠かない。それら女性キャラクターだけでなく、男らしさで他の追随を許さないアーチャーや、小者すぎて面白い間桐慎二など、男性キャラクターもかなり個性的。戦いの合間に彼らが交わす時にシリアスで、時にコミカルな会話の数々は物語の良いアクセントとなり、読む者を一向に飽きさせない魔力がある。
そんなストーリー面の魅力はもちろんのこと、グラフィックや音声と言った演出面の華やかさも本作の大きな特徴だ。
グラフィックは、制作陣自ら「PS2の描画能力を最大限に引き出した」と断言するだけあって、PC版「Fate」と遜色のない美麗さを見せている。むしろ、プログレッシブ出力で大画面に投影した時の迫力は、PC版を凌駕していると言っても良いくらいだ。
また、戦闘時などにド派手なエフェクトを挿入したり、カットインやズームアウトと言った演出を効果的に挟むことにより、プレイヤーにさらなる臨場感をあたえることにも成功している。その演出タイミングはまさに絶妙であり、物語に対する没入感をさらに高めてくれる。
この「自分の読むペースに合わせて、効果的な演出が物語を盛り上げてくれる」という手法は、小説やアニメではできないゲームならではの方法だが、本作ではその表現方法を最大限に活用した作品として高く評価したい。
音声面にも聴き所は多い。川澄綾子(代表作:「のだめカンタービレ」野田恵役など)や植田佳奈(代表作:「マリア様がみてる」福沢祐巳役など)に代表される一級線の声優陣による熱演は、聖杯戦争により一層のリアリティを付与させることに成功している。それら豪華声優陣の中でも、特に言峰綺礼役の中田譲治が紡ぐダーク・スウィート・ボイスは、(劇中の言峰の言葉同様に)心の隙間に入り込む魔力に満ちていて、まさに必聴! メロメロになることは間違いない。
また、(見逃されがちだが)システム面の充実もかなりのものだ。「文章の表示スピード」や「既読文章のスキップ」と言ったアドベンチャーゲームの基本的なものはもちろん、「各キャラクターごとのボイスのオン/オフ」や「テキストウィンドウの調整」などの細かい箇所も自分好みに設定できる点が素晴らしい。地味な要素だが、選択肢になると自動でクイックセーブが行われるのもさりげなく嬉しい。こう言った気配りの行き届いたシステムのおかげで、ストレスを感じることなくストーリーに集中することが可能になっているのだ。
魅力的なストーリーとそれを彩る演出、そしてそれらの要素を裏でしっかり支えるシステム面の充実……この3点を手を抜くことなく、しっかりと作り込んだ「Fate/stay night」は、コンピューターゲームという媒体で文章を読ませる「ヴィジュアルノベル」というジャンルの限界に挑んだ一作と言えるだろう。もしあなたが「文章を読むのが好き」「迫力のあるバトルに目がない」「しっかりした設定に燃える」と言った嗜好を持っていれば、ぜひ遊んで欲しい作品である。
とは言え、一ルートをクリアするのに20時間を超える長大なストーリーや、読み進める度に明らかになる複雑な設定の数々は、プレイする人を選ぶ可能性も高い。もしあなたが18歳以上なら、TYPE-MOONの公式ページ(http://www.typemoon.com/)よりPC版「Fate」の体験版をダウンロードして、文体や世界観が自分の趣味に合うか確認してからPS2版を購入するのが確実だろう。
PC版をプレイしたユーザーも楽しめる魅惑の追加要素の数々
「Fate」と言う作品の魅力は上記で述べた通りである。
それでは、PC版で「Fate」を体験したユーザーは「PS2版を改めてプレイする意義はあるの?」と、疑問に思うのかも知れない。その問いに対しては、力強く「ある!」と断言させていただく。それほどまでに、今作の追加要素の意義は大きいのだ。
その追加要素の中でも特に大きいのは、ボイスの存在だ。あの膨大な量のテキストの全セリフにボイスが挿入されている……という事実ですら驚愕なのに、演技が加わることによって今まで気付かなかったキャラクターの心情も理解できるようになっている。もはや、すべてのセリフが聴き所と言っても過言ではない。
もうひとつの大きな追加要素である新規グラフィックも、PC版の「印象的だったがテキストのみだったシーン」にことごとく挿入されており、制作陣の力の入れ具合を堪能することができる。それら追加グラフィックの中には、(プロローグパートでの学校に敷かれた魔法陣のように)さりげないグラフィックながらも後の伏線となるものもあり、PC版をプレイしたユーザーなら「なるほど!」と思うものが多数あるはずだ。
また、新規イベントについては、原作での18禁シーンの変更点が主であり、シーンによってはかなり思い切った改変がされている。正直「あのシーンを声つきで楽しみたい」と言う下心に満ちた気持ちが無いわけではなかったが、これはこれで趣深いものである。
そして、PC版を体験済みのユーザーがPS2版をプレイする価値は、それらの追加要素だけにとどまらない。
多数の関連作品の登場によって「Fate」世界の深みが増した今だからこそ、登場人物の言葉の端々や何気ない描写の中にも、新しい再発見が多々あるはずだ。
特に「Fate」の前日談にあたるノベル「Fate/Zero」を読んだユーザーは、再び本作を体験することにより、その感動は二倍三倍にふくれあがることは確実である。
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