【GTMF2008】プログラマーの最後の辛い時を助けたい--CRI・ミドルウェア
「Game Tools&Middleware Forum 2008」(以下、GTMF2008)でのCRI・ミドルウェアのセミナーでは、同社の最新ミドルウェア、特に先週発表された「ファイルマジックPRO」の紹介を中心に、現在のゲーム開発に求められるプレイ環境向上のために、同社の持つ圧縮展開技術が具体的にどのように役に立つのかについて発表が行われた。
CRI・ミドルウェアは、GameSpotの読者ならば一度は見たことがある名前だろう。ゲームを立ち上げた際に、社名ロゴや「ADX」ロゴを見たことがあるはずだ。古くはセガの「メガCD」「セガサターン」や富士通の「FM-Towns」などのシステム開発を行い、いまでも数多くのゲームに特化したミドルウェアを開発するメーカーだ。
先日発表された「ファイルマジックPRO」も、そんなゲーム機に特化したミドルウェア開発を続けてきたCRI・ミドルウェアのノウハウが詰まったソフトだ。ソフトの詳細については、こちらの記事(CRI・ミドルウェア、ロード時間を短縮するファイルシステム「ファイルマジックPRO」の提供を開始 )を参照してほしい。
CRI・ミドルウェア 専務取締役CTO 押見正雄氏
さて、今回のセミナーでCRI・ミドルウェア 専務取締役CTO 押見正雄氏は、
「ファイルマジックはデータを詰め込むことを主な目的として開発されたDS向けミドルウェアだが、圧縮を用いることでロード時間の削減がはかれるということに着目し開発を行ったのがファイルマジックPRO」
と説明。
実際に、Wiiの実機からデータを読み込むデモンストレーションが行われた。
2MBのファイルを16個読み込ませるデモンストレーションでは、ランダムアクセスの場合、約9秒かかり、連続でよみこむシーケンシャルアクセスでは約7.6秒へ短縮される。さらに、データ配置の最適化と圧縮を同時に行うと、なんと約3.5秒をコンスタントに記録するまでロード時間が短縮された。
今回のデモについて押見氏は「ゲームのデータとして16個という数は少なすぎるが」と語っていたが、それでもデータの最適化がロード時間の短縮に大きな役割を果たすことは理解することができたデモンストレーションだった。
さて、そんな劇的な効果を生む圧縮技術も、様々な問題によりなかなか使われていないというのが実情のようだ。
CRI・ミドルウェアが行ったアンケートによれば、約50%の人はデータを圧縮していない、もしくはゲームデータまで手が及ばない状態だという。
上記のような作業がゲーム開発の終盤に多々出てくるのである。これは確かに大変な作業だ。
そんな状況を改善するのが、「ファイルマジックPRO」だと語る押見氏は、現在のゲームプレイの環境の移りかわりにも言及。
「昔はRPGを遊ぶために5時間、10時間と時間をかけてくれたが、今のユーザーの多くは5分、10分と短い時間で細切れにプレイしている状態。そんな短いプレイ時間の中でロード時間が1分かかるとすると、ゲームを軽くプレイしたいという人たちにとって、大きなマイナスとなる」(押見氏)
また、一世代前のプラットホームにくらべ、現在のPS3やXbox 360は、メディアの読み込みスピードが3〜4倍程度高速化されたが、それ以上にROM容量が増大されており、結果的に高性能になっているにもかかわらず「どうしてロード時間は高性能な機械なのに長いの?」などと言われてしまう状態だ。
このような状況を少しでも改善したい、なるべく早くプレイしてほしいという願いを込めて製作したのが、ファイルマジックPROなのだという。
ファイルマジックPROでは、読み込み速度向上のために、リード時間の短縮とシーク時間の短縮の2つに注力。特にドライブのピックアップを移動させると大きなロスが生じるので、できる限りさせないようにデータを最適化して配列する機能も実装されているとのことだ。
このような要素を複数用いることで、ファイルマジックPROを利用した場合には、読み込み速度は通常の約2倍程度速くなるという。ゲームデータの圧縮率平均が約40%とのことなので、理論上では最大で約2.5倍であることを考えると(圧縮展開の速度は考慮されていない)、かなりの数字だ。
また、「Wiiウェア」のようなシリコンメディアを用いるソフトでも2倍近く改善する点に注目してほしいと押見氏は語る。大容量だが速度が遅いシリコンメディアでは、光メディアと同様に圧縮と配置の最適化による速度向上はとても有効とのことだ。
展開時間については「読み込み」と「展開」をオーバーラッピングすることで、ほぼ0にすることができたという。さらに、データを自動で最適に配置する機能も搭載したことで、プログラマーへの負担はかなり軽減できるのではないかと語った。
自動で最適な配置が本当に可能なのか? という点について押見氏は、
「ゲームプレイでは色々な状況があるので、最適解とは言い切れない。が、ある程度のところまではいける感触がある」
と、「ファイルマジックPRO」にかなりの手応えを感じている様子だった。
「ゲーム開発の終盤にかけて、2万とか5万のファイルの配置をやり直すのはとても大変。“これ以上はない最適化”というとかなり眉唾だが、プログラマの最後の辛い時をかなり助けられるのではないか。
我々はゲームをつくることはできませんが、ゲームが大好きな人間ばかり。素晴らしいゲームをつくるため、お手伝いできることがあれば、できる限りのことをします。
素晴らしい作品をつくるため、ぜひお手伝いさせてください」(押見氏)
CRI・ミドルウェア
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