コーエー 代表取締役 執行役員 社長 COO 松原健二氏
オンラインゲームとコミュニティーサービスについてのカンファレンス「OGC2008」が本日(2008年3月14日)より、東京・千代田区のベルサール神田で開催された。
「オンラインゲーム CROSS BORDER」と題された基調講演では、コーエー 代表取締役 執行役員 社長 COO 松原健二氏が、現在のオンラインゲーム市場についての見解とそれを取り巻くコミュニティとオンラインサービスについて語った。
まず、日本と世界各地域での市場規模について松原氏は、ニンテンドーDS、Wii、PSPはプラットフォームとして機能をしている。しかし、一昨年から発売された高性能据置型コンソールマシン(Xbox 360、PLAYSTATION3)は北米、欧州ではプラットフォームとして機能しているが日本ではまだまだの状態で、日本と欧米の普及台数の差の開き方はその他のプラットフォーム(Wii、ニンテンドーDS、PSP)の各地域での普及台数を鑑みても異常ともいえる状態だという。
また、日本ではニンテンドーDSの爆発的なヒットによって2005年から上り調子になってきたが、欧米の市場規模の広がりはそれ以上で進行しており、その差はしばらくは縮まることは難しく、さらに開いていくだろう。日本と欧米の市場はスケールも中身も大きく違うという認識が必要だと語った。
重ねて松原氏は、「日本のゲームユーザーは家庭用ゲーム機でプレイする時間が長いので、オンラインゲームが本格的に拡大するのは家庭用ゲーム機がオンライン対応するようになり、その中から成長していくのではないか」と思っていたが、実際には300万台程度の市場規模しかない現状では、まだまだその状態に達しているとは言わざる得ない。オンライン対応という点でも、日本と欧米では市場規模的にも接続率も大きな差が開いている状況だと認識を新たにした述べた。
また、オンラインゲームの各地域の市場規模については、2005年時点で1000億円を越えていた韓国市場がさらに加速して、100%以上の伸びをつづけており、この他の地域では中国も急激な伸びをしめしていると説明。日本も韓国、中国には及ばないが着実な伸びをしてしており、新しいプラットフォームの登場などの要素がなく昨年対比で40%以上の成長ができるのは日本のゲーム市場においてオンラインゲームとモバイルコンテンツだけだと語った。
ただ、この指標となる数字については市場規模を発表している各団体によって大きくばらついており、流通段階での精査などが入らないオンラインゲーム市場では第三者による数値化というのは難しいと思うが、何かしら共通となる基準を設ける必要があるのではないかと、今後の健全な発展のためにもオンラインゲームビジネス全体の指標作りが必要と訴えた。
日本のオンラインゲーム市場は数字でみると高い成長をしているように見えるが、ウェイトの大きい家庭用ゲーム機でのオンライン対応を含んだ高性能コンソールの市場が未成熟の状態だという松原氏。氏は現状を「踊り場にある」と例え、今後どこに向かっていくのかについて、考えを述べた。
かねてより松原氏は基調講演などの場で、
「次世代コンソールの登場と光ファイバーによるインフラの強化によってオンラインゲーム市場が強化、そして新しいビジネスモデルと事業者の登場によりオンラインゲーム市場は加速度をつけて成長するだろう。ビジネスモデルとしてアイテム課金への変化があったが、それを拡大したサービスモデルの変化としてUGMといったコンテンツが多数登場するのではないか」
と予想と期待を述べていたが、現在、その期待より市場は成長していない。特にコーエーをはじめとする日本の国内メーカーが得意とするヘビーコンテンツの登場もほとんど無く、期待はずれとまでは行かないが物足りなさを感じているという。
その物足りなさについて松原氏は、「追い抜かれと思っている」と表現。
オンラインゲームの拡大に邁進していた脇を、mixiやニコニコ動画、モバゲーといった新しいユーザーサービスが登場し、あっという間に登録人数で(圧倒的な)差をつけられてしまったという状況は、オンラインゲームが他のサービスとどう関係を持っていくかを考えなければならない時期に来ていることを表していると語った。
ただ、オンラインサービスの特徴である「基本サービス無料」「先行者優位」という特性は、これまで自分たちの独創性を対価にユーザーから直接利益を上げてきたゲームメーカーとして、相容れない部分があり危機感も持っていると語る松原氏は、
「ユーザーは有料と無料の違いを図る明確な物差しを持っている。ビジネスモデルはユーザーが選ぶべきで、我々はコンテンツの魅力で直接対価を払ってもらえるパワーを持っている」
と、ユーザーではないクライアントからの広告収入によるビジネスモデルは、独自性が保ちにくくなるため安易に選択するべきではなく、あくまでもユーザーが求める適切な方法でサービスを提供するべきだと述べた。
今後のオンラインサービスに対しての可能性として松原氏は、オープンIDがさらに発展していくことで、ユーザーの行動分析型マーケティングが進み、オンラインゲームやその他のサービスを問わず、個人に対して適切なサービスをマッチングすることができるようになるのではないか。オンラインゲーム中の行動を分析し、オンラインゲーム以外でも適切なサービスを提供する「心地よいおせっかいサービス」ができるようになれば良いと思うし、コーエーでもできることから取り組んでいくと語った。
講演の締めくくりとして、松原氏からコーエーのオンラインゲームビジネス事業の説明も行われた。
すでに多くのMMORPGタイトルのサービスを行っているコーエーでは、最新作「三國志Online」で新規会員として2万人の課金ユーザーを獲得したという。
開発中にビジネスモデルは定額課金制からアイテム課金制に移り、オンサービスの際には(定額課金のままでよいか)ずいぶん悩んだとのことだが、オーソドックスな定額課金で2万人のユーザーを獲得できたというのは、日本のMMORPG市場にはまだまだ発展の余地があるという証左であり、松原氏も手応えを感じている様子だった。
最後に松原氏は、
「まだまだ伸びしろがある国内MMORPG市場は魅力的な市場、多くの企業が参入して市場を一緒に盛り上げてほしい」
と挨拶し、基調講演は終了した。
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