ゲームである以前に世界観にこだわった 【蟲師 〜天降る里〜】監督&プロデューサーインタビュー
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漆原友紀氏による漫画「蟲師」は、長濱博史氏監督によるアニメ、そしてオダギリジョー主演による映画とメディア展開を見せている。
2008年1月31日にはマーベラスエンターテイメントからDSソフト「蟲師 〜天降る里〜」発売される予定となっており、放映次期から約3年たった今、発売されることとなった。
また「蟲師 〜天降る里〜」、好評だったアニメのスタッフが再集結し、制作に携わっているという。
ゲーム部分では、どこに力を入れたのか……。ゲームでの監修を務める長濱博史氏、本作のマーベラスエンターテイメント プロデューサー石綿春也氏にお話を伺った。
本日はお時間をいただきありがとうございます。
さっそくですが、原作「蟲師」のストーリーは1話完結ですよね。
ゲームをお借りして少々プレイしましたが、本作のストーリー部分では、1話完結のストーリーで構成されたストーリーを、ゲームという大きな一話にまとめ、さらに、原作で登場するそれぞれの話をつないでいるなど、世界観を大事にした作品だという印象を受けました。
本作は通常のキャラクターマーチャンダイズというよりも、蟲師の世界の延長上にあるものと理解したほうがよろしいでしょうか?
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| 長濱博史監督 |
長濱博史氏:(以下、長濱氏)ええ、おっしゃるとおりです。蟲師の世界は不透明で見えてこないが、大きく根底に何かが流れているような……。そういう部分を一番に踏まえつつ、本作はゲーム化しています。
ゲーム部分では、蟲師の世界に自分から参加し、そこで旅をしたり、蟲を自分で捕まえることで、それぞれの形態や性質、生息地域などわかるような作品になっています。
コミックスの世界ではセリフやコマなどで表現されている部分ですが、ゲームでは、原作の中でギンコが語っている蟲の解説などを、体感できるということですか?
長濱氏:そうですね。ギンコや蟲師たちが行っている部分を、自分で体験できるという部分が、本作の一番ミニマムな部分になります。
ゲーム中では、それぞれの蟲ごとに実際につまんで持ち上げたり、蟲ピンで刺したりと、いったことができるようになっています。
それらは、プレイヤーの行動と直結した部分で観察することもできますし、それとは対照的に、動かすことはできない根底にある大きな変化などもあります。
代表的なものとしては、蟲の集まる場所として存在する“光脈筋”という設定ですが、この設定により、ゲームの世界も蟲師の世界とつながっているように工夫しています。
本作、「蟲師 〜天降る里〜」では、そういったところを大事にしていますね。
ちなみに、主人公の里の下には光脈筋があるという設定にもなっていますよ。
設定での話になりますが、やはり蟲師というと、ギンコが特殊な存在ですよね。ある意味主人公でいてそうでないような。今回新たなキャラクターが主人公というところではどのような背景があるのでしょうか?
長濱氏:蟲師という作品は、たしかにギンコというキャラクターが物語の中心に立ちがちですが、各話完結の1本ごとの主人公は別のキャラクターなんですよね。
そうですね、ギンコが助けているという見方であれば、ギンコが主人公ですが、実はそうではないというところに主人公がいるという感じにも受け取れます。
長濱氏:ええ、どちらかというとギンコはそれぞれの登場人物に関わる側になります。見たり、影響したりとか、本作もその部分を大事にしています。
先ほどおっしゃったとおり、ギンコを主人公にしてしまうと、“ギンコを動かす”といったことや、主人公と密接な関係になれるようにしてしまうと、頻繁に連絡を取るとか、これは原作の世界を好きな人にはかなり違和感になってしまう部分ではないかと思うのです。
そうですね、ギンコが同じ場所に留まると、蟲を呼んでしまうため、その場で留まるということはできせんしね。
長濱氏: そうです。そういう設定もあり、プレイヤーキャラクターはギンコではなく、少年少女の若手蟲師をということになっています。
ではあくまでギンコはゲーム中では登場人物の一人ということになるわけですね。
長濱氏:ええ。原作やアニメのファンの方は、ギンコになりたいわけではなく、ギンコと会いたかったり、ギンコの話を聞きたかったり、ギンコと同じものを見てみたいと思うんですよね。
石綿春也氏:(以下、石綿氏) 蟲師の世界にプレイヤー自身が入り込むというような、登場人物の一人のような感覚になっていただけると嬉しいですね。
ゲームの最初にプレイヤーキャラクターの師匠として、ヤクノが登場し「大きくなったな」とセリフを言いますが、あそこがギンコでもよかったかもしれないと思いますが。
石綿氏: いきなり出るというのもなかなか難しい部分だと思います。また、主人公に密接にかかわってしまうと、ゲーム中の蟲の記録、ギンコからすべて返事が帰ってくるのも原作を大事にしている部分、おかしくなってしまいますよね。
長濱氏:
ギンコは蟲師の世界では、異端者なんですよね。そういう人間が一人の人間とかかわりをもつ所はないからこそ、こういう物語が生まれているというか、別の世界に旅をしているということになっています。
唯一ギンコが関わりを持っているのは化野(あだしの)と、狩房淡幽(かりぶさ たんゆう)になりますね。彼らとギンコは同じ方向を向いて歩いていると思います。
私が思うに原作を好きであればあるほど、普通の蟲師とギンコとでは、同じ方向を向くとは思えないわけですよ。
そこで普通の蟲師であるヤクノが主人公の世話をしたりとか、蟲を教えたりということを行うわけです。
ギンコだと、おそらくほったらかしにされると思います(笑)。蟲の性質なども自分で調べろみたいなことを言うでしょう。
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| 写真左:マーベラスエンターテイメント 石綿春也氏、右:長濱氏 |
ゲーム部分で質問させていただきます。蟲師のミニゲームは、簡単に蟲を捕まえられるものから、かなり高難度のものまでありますよね。
蟲師が好きな人の中には、普段ゲームを遊ばれない方もいらっしゃると思います。
比較的難易度の低いものから高いものまでありますが。
長濱氏:ありますね。結構難しいと思う部分ありますが、私は比較的簡単に蟲を捕まえていけましたよ。
石綿氏:そこはタイミングがあるのでどこかにポイントがありますね。
私は蟲を触らずに丸を描けというミニゲームがなかなかクリアできませんでしたね。それと蟲の記録全般でしょうか。気ままに蟲を捕まえていると、記憶にない場所の蟲まで捕まえていて、生息地帯とかに頭を悩ませましたね。
石綿氏:そうですね。多少不親切にした部分になってしまいますが、まさに調査をするといった感じを受け取ってほしいかなと。
蟲を捕まえる部分では、主人公である蟲師が成長していくことで、ヤクノやギンコから新しい蟲師用の道具を貰えるといったものも用意しています。
アイテムによっては、難しいと思っていた蟲の捕獲が比較的簡単になるものもありますよ。
なるほど。難しいからといってひたすらにチャレンジするよりも、簡単なものを足がかりにステップアップをしていけばいいわけですね。 ちなみに簡単とおっしゃった長濱さんはかなりゲームを遊ばれるのでしょうか?
長濱氏:そうですね、やってますね。ただゲームが好きなわけではなく、好きなキャラクターのゲームを好んで遊んでいますよ。私の場合、特にアメコミが好きなので洋ゲーが主になりますね。ゲーム自体は旅行ついでに買ってくるといった感じです。
純粋にゲームだけというのはないですが、普通のアクションゲームなども遊びますよ。ある日のことですが、サンプルでいただいたゲームをスタッフは難易度が高いといっていましたが、僕はすんなり遊べたくらいです。
いただいたゲームはキャラクターものですが、そのキャラクター知っていれば、必然的に操作方法などは理解できると思っています。
そのほかにも、世間では評価のよくないゲームでも好きなキャラクターのゲームであれば、遊び倒すくらいプレイしますよ。
難度の部分ですが、製作途中では薬草の名前が取るまでわからなかったんですよ。
蟲師の世界では捨てるという行為はよくないことになっているんですよね。で、わからないものを闇雲に拾って捨てるというのは世界観に反するので、そこは近くに寄ることでわかるようにしました。
RPGなどのゲームに慣れている人は、落ちているものであれば、まず拾ってしまい、必要がなければ捨てますよね。蟲師の世界はそこは逆にしたいと。
石綿氏:ええ、ユーザビリティを重視するのか、世界感を取るのかは非常に悩みましたね。
ファンの方であればご理解いただけるのではないかと、他力本願ですが願っております。
持っている持ち物に対しての不安感があるのが厳しい部分でもありますね。食事や薬草で持ち物のストックに気を配らなければならないあたりとか。
石綿氏:制作途中では「無限おにぎり」なんてアイテムもあったんですが、世界観を重視したく、実装には至っていません。なくならない食糧とかはさすがに蟲師の世界ではありえないので。
長濱氏:石綿さんもおっしゃってますが、今のままでも十分世界を感じられると思いますよ。最初のうちは慣れていただくまでの試練でもあると思います。
石綿氏:厳しい部分での説明ばかりになってしまいましたが、ゲーム中には原作にもある一夜橋があります、ここはヤクノからの助言を得ることで一夜橋そのものが現れますが、現れなければ先に進めないといったこともなく、ある程度の体力があればといった救済措置みたいなものも入っていますよ。
長濱氏:一夜橋を戻っちゃったらデータが消えちゃって最初からやり直しとかまで考えたんですが、行き過ぎると、それはそれでだめなゲームになってしまいますね。
一夜橋あたりまで進んでいると、それなりにプレイした人になるので、怒ると思いますよ(笑)。
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